Blu-ray「カントリー・ガールズ Live 2019 ~愛おしくってごめんね~」感想・レビュー

Blu-ray「カントリー・ガールズ Live 2019 ~愛おしくってごめんね~」感想・レビュー

カントリー・ガールズ、最後の映像

画像出典:カントリー・ガールズ/カントリー・ガールズ ライブ2019 ~愛おしくってごめんね~ – TOWER RECORDS ONLINE

 

カントリー・ガールズの現体制ラストライブとなる「カントリー・ガールズ Live 2019 ~愛おしくってごめんね~」のブルーレイを見終わった。私は当日参加ができなかったので、本ライブの初体験がこの映像になる。

 

笑って、泣いて、笑った

 

正直、見終わった時に自分の中にプラスの感情が残るのか、マイナスの感情が残るのか分からなかった。だって活動休止を迎えるまでの、ゴタゴタというか何というか…。内部にどんな事情があったのか分からないし、一ファンの自分勝手な想いに他ならないのだけれど、到底納得できる終わり方ではなかったからだ

2017年6月に突如発表された兼任体制。そして新曲も出ず、目立った活動活が見えてこない開店休業状態への突入。やっと新曲が発表されたと思ったら、突然の現体制での活動休止。そして何だかモヤモヤする<メンバーを一新しての再始動>という今後の展開…。

カントリー・ガールズの楽曲達が今後も歌われ続けていくのは嬉しいけど、そんなすぐに切り替えられないよね…。

 

なんて感情を拭い去れるまま、本映像を見たのだった。

 

その結果、全ての映像を見終わって、停止ボタンを押した瞬間の自分の感情はとてもポジティブなものだった

もちろん全てを肯定できたわけではないし、寂しい気持ちもやりきれない気持ちも自分の中に残っている。しかし、それをひっくるめてもやっぱりポジティブな感情が一番にあった。

 

アーティストのラストライブは、よく“集大成”という表現で形容される。しかし、本ライブを“集大成”と呼ぶにはあまりにもこの4人で活動した期間が短い。短すぎる。だから、本ライブはカントリー・ガールズの“集大成”とは呼べないと思う。

あくまでも、彼女たち一人ひとりのカントリー・ガールズに対する“けじめ”のようなライブだ。

 

愛くるしいパフォーマンスを見せる彼女たちから、そんな決意を感じた。

 

“聡明なグループ”としてのカントリー・ガールズ

思えばカントリー・ガールズは、今のハロプロの中で最もコンセプチュアルなグループであった。

それは2つ面から言えると思う。

 

1つ目は、楽曲面だ。

カントリー・ガールズの名の通り、カントリーミュージックをはじめとする、ロカビリーやモータウンなどのアメリカのオールディーズミュージックを、現代アイドルソングとして再構成した楽曲達は、彼女たちのファニーな魅力と相まって特別な輝きを放っていた。

 

 

コンセプトというのは往々にして崩れがちだが、カントリー・ガールズの場合は一貫していた。ライブでは母体となるカントリー娘。の楽曲もレパートリーとして取り込み、極上の幸せ空間を作り上げていた。

 

2つ目は、キャラクター面だ。

ももち先輩の指導のもと、徹底したアイドル英才教育を受けてきたメンバー達は、パフォーマンスはもちろん、MCやその他映像作品あらゆる場面でファンを楽しませようとする高いエンターテインメント精神を持っていた。それは嗣永桃子の手法を踏襲し、各人が自らをキャラクター化するだけでなく、カントリー・ガールズ全体で相互に作用し合うことで独特な面白さが生まれていた。

 

 

アンジュルムが素の個性が混ざり合う女子校のバカ騒ぎ的の面白さ(褒めてる)だとしたら、カントリー・ガールズは素とキャラが入り交じる計算されたコントのような面白さを提供している。とてもコンセプチュアルなエンターテインメントだと言えるだろう。

 

この形態でエンターテインメントを届けられるのは、メンバーの聡明さによるものだろう。奇人変人を演じるためには、常人を知っていなければならない。そして臨機応変にキャラクターと素を使い分ける器用さ、頭の良さが必要だ。

 

きっと嗣永桃子は、各人の個性を見抜いていたのだろう。キャリアの差から、必然的に嗣永桃子対その他という構図になってしまうのは必至であったため、素のままのコミュニケーションではそこに面白さは生まれない。キャラクターを足していくことで相互作用が生まれて、面白さが生まれてくるのだ。

 

この“大いなる茶番”とも言うべきカントリー・ガールズ独自のエンターテインメントは、嗣永桃子の卒業後もしっかりと継承された。

 

 

この2つの大きな魅力は、本映像でもいかんなく発揮されている。

 

最後の曲がどう響くか

ライブはデビュー曲であり、ライブタイトルにもなっている『愛おしくってごめんね』で始まる。

 

 

やっぱりこの曲は色々思い出す。うたちゃんとかうたちゃんとかうたちゃんとか。瞬間最大風速で言えばハロプロの歴史に残るであろう島村嬉唄による破壊力抜群のあのセリフから、カントリー・ガールズの歴史はスタートしたのだ。

本ライブでは、このセリフを4人全員で言う。そしてカメラワークも縦に区切って4人全員の表情が映るように編集されている。これはありがたい。最低4回、いや推し分は2回で最低5回は見る必要がある。

ライブ1曲目の楽曲の、さらに冒頭のセリフを4人全員で言うところに「今日は全員が主役よ!」というような意気込みを感じた。

 

カントリー娘。の楽曲である『恋がステキな季節』は涙なしでは見られない。

 

 

互いを慈しむような、見守るような優しい瞳は、どんな歌やダンスよりも雄弁に彼女たちの感情を伝える。特に本楽曲での船木結の表情には……、何かに例えて書こうとしたがあの表情を例える言葉が見つからなかった。人一倍泣き虫の彼女は、人一倍自分以外の誰かのことを考えられる人なのだと思う。うん。

<恋がステキな季節なのね>と歌いながら、彼女たちはカントリー・ガールズで過ごした日々をどんな季節だと表現するのだろうか。<偶然でもうれしいのよ>と歌いながら、このメンバーが集まった偶然という名の運命をどう思っているのだろうか。

そんなことを考えながら、聴いていた。

 

『色っぽい女 ~SEXY BABY~』の前に挟まれるインタビューVTRでは、各人のキャラクターの魅力が存分に発揮されている。やりきる船木、もはや名人芸の小関、やっぱり最後まで照れが抜けなかった森戸、安定の山木。名セリフ、<今>は私もどこかで使わせていただきます。

 

そしていよいよやってきた。『恋泥棒』で事件は起きる

 

 

『踊る大捜査線』で青島刑事も言っていた。事件は現場で起きていると。

ここで詳細を書くことはしない。これは、この事件は、お金を出したヲタの特権だ。

この出来事は、やはり現場に行くことの大事さを改めて教えてくれた。映像でも楽しむことはできるが、きっと現場で感じる空気はまた違ったはずだ。声、音、温度、その全てがその場にいた人しか体験することができない特別な一瞬だったはずだ。

あぁ、羨ましいことこの上ない。

 

カントリー・ガールズ、最後の曲は『VIVA!! 薔薇色の人生』。この曲がどう響くかで、自分の中のカントリー・ガールズがどう終わるかが決まると思っていた。

ハロプロらしいポジティブで前向きなメッセージを、カントリーミュージックと「ごめんね」というワードを盛り込むことで、カントリー・ガールズ色に染め上げた楽曲だ。

 

 

皮肉な歌詞に聞こえてしまうのではないか、という危惧があった。メンバー発信で全員卒業という道を選んだとのことだが、全てに満足しての卒業であるとは思えなかったからだ。

そんな彼女たちが<未来しかなくてごめんね!>と、今後の人生への希望を高らかに歌った本楽曲が本来の意味のまま自分の胸に響くのか不安だったのだ。

 

しかし、杞憂だった。

 

涙を目にたたえながらも、笑顔で、可愛く、気高く、美しく歌う彼女たちを見ていたら、そんな風に考えていた自分が馬鹿らしくなった。

そして、そんな人生をも内包しながら、彼女たちからのメッセージが歌詞の中にもともと綴られていたことに、恥ずかしながらこんなタイミングで改めて気づいてしまった。

 

困難 荒波 大歓迎
私なら大丈夫です 薔薇色の人生

 

そうだった。彼女たちなら大丈夫だ

聡明で、努力家で、支え合える仲間もいる彼女たちの人生は薔薇色に決まってる。そんな簡単なことに気づいていなかった。

彼女たちはとっくに前を向いていた。ただでさえ気持ち悪いヲタクがウジウジしていてどうすんだって話だ。ちょっとめんどくさくて、ごめんね。

 

画像出典:「最後まで愛おしくってごめんね!」カントリー・ガールズが貫き通した“ももちイズム”

 

ここで、現体制でのカントリー・ガールズは終了した。

 

ヲタクは黙って、次のカントリー・ガールズの始動をワクワクしながら待っていればいいのだ。

 

終わりに

様々な象徴的なシーンがしっかりと収められている。セトリの流れも申し分ない。

 

ハロヲタなら買っておくべき映像だと思う。

 

色々書いてきたが、そういえばまだ一番のおすすめ理由を書いていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヲタクぅ、ちぃのポニーテールが拝めるんだから早く買うんだよ!!!!!

 

 

 

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