画像出典:【楽天市場】9mm Parabellum Bullet/VAMPIRE《数量限定盤》 (初回限定) 【CD】:ハピネット・オンライン
大衆性を獲得した2ndフルアルバム
滝:今回は本来の自分たちにかなり近づけたと思うんですよ。『Termination』はメジャーに進出して最初のアルバムで気負いが凄くあって、ちょっと固い感じになってましたからね。それに対して、今度のアルバムはリラックスした状態で制作に臨めたのが良い効果を生んでいると思います。
前作『Termination』から約1年。週間チャート2位まで到達し、邦ロックを代表するバンドであることを決定づけた2枚目のフルアルバムが本作だ。
ギタリストであり、ほとんどの楽曲の作曲を務める滝 善充は、本アルバムについて上記のように語っている。
彼の言う通り、前作はカオティックで爆発的な演奏とスリリングな歌詞世界が、アルバム全体にシリアスなイメージを与えていた。
「より本来の自分たちに近づけた」という本作では、音像もよりメジャー感のあるものになっただけでなく、『Vampiregirl』では“語り”を楽曲の軸に据えていたり、異端のサーフミュージック『The Revenge of Surf Queen』は“インスト曲”であったりと、楽曲の幅も広がり、“遊び心”すら感じる仕上がりになっている。
一方で、イカれたドラムが牽引するカオティックな演奏やギター・歌メロの哀愁激クサメロディは健在。前作の方向性を押し進めながらも、意識的か無意識かは定かではないが、結果的により大衆性を獲得した作品と言えるだろう。
“俺たちのバンド”へ
2010年代前半に高校生・大学生だった世代にとって、ロック好き仲間でカラオケに行ったら、まず確実に誰かが歌ったのが9mmだろう。かくいう私も友達のカラオケでハマった口だ。
Mステで『Black Market Blues』を演奏する姿を見て彼らを知ったが、正直その時はそんなにはまらなかった。
月日は流れてある日、軽音サークルのカラオケで友達が歌う本作収録の『Supernova』を聴いた。「何このリフかっけぇ…」となった。続いて、友達が歌う次作収録の『Cold Edge』を聴いた。「何この歌詞かっけぇ…」となった。好きになった。
その後何度も彼らのライブを観る機会に恵まれたが、イントロで上がる歓声や大声でくっさいメロディを合唱する姿に、9mm Parabellum Bulletが確実に“俺たちのバンド”になっていることを実感した。
全パートキャラが立ち、日本語詩なので歌いやすい。そして何より弾きたくなるリフの嵐・嵐・嵐…。
データが有るわけじゃないが、実はこの世代のバンドで一番コピーされたバンドなのではないだろうか。だってこんな曲聴いてたらバンドやりたくなるもん。
ピックアップフレーズ
見えないラインで区切られた
ツギハギだらけの世界地図
国境は歴史の傷口で
治せる薬を探してる
#1『Wanderland』より
十万度の太陽を抱きしめた時
砂漠になった僕の頭は
吹き抜ける風に冷やされる度に
涙の雨の水滴がきらめいた
#7『Supernova』より
今おれに必要なのは
考え過ぎに効く薬
全部忘れて眠るんだ
コーヒーはとうに冷めてる
#9『悪いクスリ』より
恋人と手を取って
乗り込んだこの電車
終点には希望がある
数に限りのある希望が
#11『次の駅まで』より
ピックアップ楽曲①『Supernova』
彼らの代表曲 of 代表曲。
出会い頭にぶん殴られるような爆音イントロからのギターキッズを虜にするツインギターリフ。
「アイアン・メイデンを意識したらギターが1本足りないからペラペラになった」と本人たちも語っているが、確かにツインギターがハモるせいでバッキングがなくペラい印象なのはご愛嬌だ。
その分、ベースがニュアンスをつけて頑張っている。まさにバンドではないか。一方、ドラムは相変わらず暴走している(褒め言葉)。
このフレーズを弾きたくてギターを始めたキッズもたくさんいるはずだ。
ピックアップ楽曲②『Vampiregirl』
安定の哀愁イントロから、劇伴みたいなズクズクブリッジミュートに乗せて“語り”で歌い始める。
童話のようなストーリーとセクシャルな匂いを上手く組み合わせた詞は見事だが、そんなことは置いといて、とにかくライブで踊り散らかすためのダンスチューンと考えて差し支えないだろう。
さぁみんなで一緒に「「「よゔぁんぱいあがぁぁぁぁああああるるるるる!!!!!」」」
ピックアップ楽曲③『Living Dying Message』
チッチキハイハットが終始気持ちいい疾走ロックチューン。
ドラムはもちろん、ギター、ベース各楽器が演奏に緩急を与えることで、実際のBPM以上にスリリングなスピード感を感じられるようになっている。
<あなたは二度と孤独になれない いつか必ずわかる日がくるよ>という、希望なのか絶望なのか、聴き手に委ねられるフレーズが印象的だ。
大暴走の果てに、彼らを“俺たちのバンド”にした出世作は絶叫で終わるのだ。
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