バンド好きならPASSPO☆聴こうぜ ~ロックでキュートな楽曲選②~

バンド好きならPASSPO☆聴こうぜ ~ロックでキュートな楽曲選②~

 

1記事じゃ全然足りねぇ

画像出典:TSUTAYA on IDOL – TSUTAYA online

 

どんなに厳選しても、1記事じゃ到底紹介しきれないほどいい曲たっぷりなので引き続きPASSPO☆楽曲を紹介していく。

何記事続くのかは自分にも分からないが、とりあえず納得できるところまで続けるのだ。

 

夏空HANABI

 

世界観が謎なMVは置いといて、和×ロック×アイドルという見事なコラボレーションが美しい。

 

本作のテーマは「ジャパニーズ・パンク」ということで、ハイスタ以降爆発的に増えた日本のパンク/メロコア勢のエッセンスが感じられる楽曲になっている。サビ頭に音を抜くところなんかは、ELLEGARDENを彷彿とさせる

基本はギター中心のバンドサウンドを主軸としながらも、時折挟まれる“琴”の旋律や和の音階で奏でられるメロディにより、まさに日本のメロディックパンクといった仕上がりになっている。

 

そして、“日本の夏の恋模様”を美しい言葉で綴った歌詞も注目だ。

自分の胸の内の想いを花火に重ねた<夏の夢 何度も花は開く 閉じ込めた想いまた打ち上がる>を、ド頭に和音階で歌われたらもう一瞬で心はわしづかみにされる。誰もがそれぞれの思い出の中の“あの夏”に連れて行かれる。

私が一番好きなフレーズは、2サビの<夏の夢 呼び起こす蝉時雨 かき消されそうなあたしの想いは いつまでも鳴いてるから>の部分だ。

夏の季節ワードである“蝉時雨”を巧みに使い、そんな蝉時雨にかき消されそうな自信のない想いだけれども、ひと夏で消えてしまう蝉と違い、“いつまでも鳴いている”という対比が素晴らしい。

 

竹中夏海による扇子を使った振り付けも美しい。特に<頬赤らめて 顔をそらした 祭りの帰り><隠れてかわしたキスが今でも>の部分で口元を扇子で隠す仕草なんてたまらない。

 

あぁまた「昨日より強くなりたい」をオタクのみんなと一緒に叫びたいよ。

 

君は僕を好きになる

 

アイドル名イントロ賞・アイドル名振付賞・アイドル名歌い出しフレーズ賞のトリプル受賞間違いなしの名曲だ。

 

まずはイントロ。ギターで奏でられるリフは、過去を振り返るような歌詞の世界観にインスパイアされたかのように、半音・1音と下がっていたフレーズが最後のフレーズで半音上がり、音でも振り返ったようなイメージを与えている。

歌を彩る、曲の世界を作り上げる珠玉のフレーズだ。

 

竹中夏海大先生による振り付けも素晴らしい。冒頭の手の動きは、“舞い落ちる桜の花びら”を表しているのだろうか。これだけでも美しいが、なんとその花びらを「フッ」と息で飛ばしてしまう

ここが可愛い!!!えっ!!飛ばしちゃうの!!!!えっ!!!!!!可愛いよ!!!竹中先生結婚して!!あ!既婚者だった!!!

 

そして歌い出しフレーズの美しさ。

街とキミの唇が桜に染まる
偶然であったあの日 あの場所みたいに
I waitung for you
失った色を探して答え求め
重ねた出逢いは 新しい強さ ここに

時間・色・人生・気持ち・キミ。情景描写と心理描写の組み合わせが絶妙で、この歌詞だけでも本の挿絵のようなやわらかなイメージが浮かんでくる。

<街とキミの唇が桜に染まる>というフレーズは一見すると情景描写だが、唇に対してそんな詩的な表現を使ってしまうような感情を持つなんて、どんな感情描写よりも主人公の感情を表している情景描写だと思う。

 

歌詞の中では、2人の関係がどうなったのか明確に答えは記されていない。そんな余韻を持たせるかのように、ギターソロで終わる楽曲構成もニクい

 

Dear My Friends

 

一瞬の“アカペラ”により、森詩織さんのパワフルな声の力が存分に発揮された冒頭から、前のめりな2ビートで疾走していく直球のロックナンバーだ。

 

ライブのラストに歌われることも多かった本楽曲には、笑いながら泣いていた思い出しかない。なんだか悪友感の強いPASSPO☆というグループが歌うからこそ、余計にその歌詞が胸に突き刺さってきた。

 

J-POPに応援歌なんて腐るほどある。その多くはアーティストからリスナーへのメッセージだ。そして、そこで歌われる歌詞もどれも似たようなものだろう。

実際、本楽曲だって<『君』は君しか 咲かせられない 花を持ってる><逆境も楽しんでみて そこからまた始めればいい>など、ある種“陳腐”とも言えるような使い古された言葉だろう。

しかし、本楽曲は『Dear My Friends』だ。すべての歌詞の頭には<Dear My Frends>が頭に付く。つまり本楽曲は、アーティストからリスナーへの言葉ではなく、あくまでも“友”から“友”への言葉なのだ。

 

そう考えるだけで、このありふれた言葉たちが生まれ変わったような輝きを放つ。だって愛する友達からの言葉なのだから。

 

綿密なアレンジや凝った展開など必要ない。ムキダシの音楽、ムキダシの言葉の強さを感じる楽曲だ。

 

BEAST IN YOU

 

これまでの楽曲とはだいぶ毛色の違う、ストリングスが牽引するゴシックサウンド。そんな劇伴のような荘厳な音色を支える「ダン!ダン!」という心臓をぶん殴られるようなドラムが緊迫感を極限まで高める。

まさに『BEAST IN YOU』。自分の中に潜む“野生”の部分が呼び覚まされるようなサウンドメイクだ。

 

本楽曲では、冒頭の玉井杏奈さんによる艶のある歌声が印象的だ。その存在感、パフォーマンス、すべてにおいてこの曲の妖艶な魅力を際立たせている。召使いにして欲しい

 

淫靡な雰囲気を漂わせる歌詞は、<君の歓声(こえ)にBorn desire><脈打つRhythmに爪立てて><媚薬のように掻きたてる弦><大胆不敵なOver Drive>など、七色の表現方法で“ライブ”の興奮が歌われている。バンドキッズは好きでしょこうゆーの。

<狂ったようにStep on the floor><研ぎ澄まされてくFeel>など、1フレーズごとに「日本語→英語」を繰り返して進む歌詞構成なので、下手をするとめちゃくちゃダサく聴こえてしまう恐れのある挑戦だが、まったく違和感なく、むしろカッコよく決まっているのは凄い。

 

あと歌ってて口が気持ちいい<You can’t stop felin’ deep inside>とかたまんない。最後の3単語で韻を踏んでいるのがポイントだ。

 

サウンド面・歌詞面どちらにおいても、PASSPO☆楽曲の中でかなり挑戦的な1曲になっている。その挑戦を最高の形でまとめ上げた名曲だ。

 

サクラ小町

 

ギターが格好いい。歌詞が美しい。もうそれ以外何が必要なのだ

 

4つ打ちのダンスビートに乗せて、メンバー以上にギターが歌う本楽曲『サクラ小町』は、PASSPO☆楽曲ギターワークの一つの到達点と言ってもいいのかもしれない。

イントロではシンセの序章から「はい絶対これサビのメロディ」と一発で分かるキャッチーなフレーズでご挨拶。ギターってほんとに音が格好いいな~と改めて思う。

そしてAメロ。1フレーズごと、まるでブルースのようにオブリのフレーズを奏でる。歌詞を引き立てるかのように…という感じでは全然ない。ただただ弾きながら気持ちよくなってそうな感じだ。

歌の裏のバッキングがシンプル極まりないからこそ、「よっしゃここで暴れてやるぜ。へへ」って意思すら感じる

そしてサビでは、主人公の揺れる想いや舞い散る桜を表現したかのようなディレイの効いたフレーズで魅せる。「いやいや暴れるだけじゃなくて、こんなんもできまっせ」って意思すら感じる

2サビ終わりからなだれ込みギターソロは、冒頭からイッている。恍惚の表情でチョーキングしている画が浮かぶよ。

 

ギターだけ聴いても十二分に楽しめる楽曲だが、歌詞だって負けてはいない。

胸の奥また飲み込んだ あたしの想い
いつまでも蕾のまま 春は来る
今年も空に交わる薄紅色
淡い期待はただ舞い落ちていく

 

この<また>という言葉が入ることで、主人公の性格や想い続けた時間が伝わってくる。春の代名詞である“桜”は、主人公にとってキレイな景色でも心落ち着く存在でもなく、時間の経過と悲しみの象徴なのだ。

<ヒラヒラ><ユラユラ><ハラハラ><フワフワ>リズミカルに言葉を紡ぐサビを経由し、主人公は変わる。

花の数だけ出会いと
別離(わかれ)繰り返しても
君へ辿って羽ばたく蝶になる

 

“春”という共通テーマで歌詞全体の登場単語を縛りながらも、しっかりと意味を通した美しい表現で綴っていく。ペンネとアラビアータ機長のワードセンスは、五臓六腑に染み渡るで。

この主人公の心情変化を締めくくる<この恋咲き誇れ!!>の強さには、目頭に熱いものが込み上げてくる。

 

終わりに

まだまだ書き足りないのでパート③に続くよ。

 

 

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