Buono!「ロッタラロッタラ」と“幸せ”と“シアワセ”

Buono!「ロッタラロッタラ」と“幸せ”と“シアワセ”

アイドル meets 英国レジェンド

「Buono!」5枚目のシングル『ロッタラロッタラ』です。

 

ええ、みなさんが言いたいことはわかります。

 

変なタイトルですよね

 

曲中でも呪文みたいにちょこちょこでてくるし。これはイギリスの伝説的ロックバンド「Led Zeppelin」の名曲『Whole Lotta love』から取られていると見て間違いないでしょう。

 

 

この曲の邦題(外国の作品を日本で売るためにレコード会社あたりが適当に付けた日本語タイトル)は、「胸いっぱいの愛を」と言います。ほら、サビでしきりに「胸いっぱいの愛」というフレーズが登場しますよね。

歌詞以外にも、2019年にもなって1960年代デビューのロックバンドを聴いている友達の少なそうなマイメンをニヤリとさせるLed Zeppelinオマージュフレーズが曲中に出てきます。

 

「Whole Lotta Love」の読みは「ホール ロッタ ラブ」。「ホール ロッタ ラブ」→「ロッタラ」的な感じです。なんで2回繰り返して「ロッタラロッタラ」にしたのかは分かりません。可愛いからじゃないですか(適当)?ほら、「juice=juise」の要領ですよ(超適当)。

 

愛に溢れた“失恋”ソング

 画像出典:Buono!新曲が「しゅごキャラ!!どきっ」EDテーマ起用

 

 

あぁああもうみんな可愛いぃぃぃいいいい!!

 

衣装も似合ってるぅぅぅぅううううう!!

 

と、この可愛さを伝えるだけでも文章を無限に書けますが自重します。曲ですね、曲。ポップなロックチューンであり、青春感満載な爽やかな恋愛ソング、、、と思いきや、実はこちら、とても大まかに言えば“失恋ソング”となっております。

 

あぁ懐かしき“シアワセ”な僕たち

曲の話に移りましょう。

 

<ホント?><えぇ~!>と謎のセリフパートを挟みながら、軽やかなフレーズで始まるイントロ。

最初の「ロッタラロッタラロッタラ」の後、ギターの2音が右チャンネルから左チャンネルに移動するようなギミックも面白いですね。

 

1番Aメロ

今日の僕たちが大人んなってしまえば
きっと見えてるものさえ
見えなくなってしまう
今日まで僕たちが夢中になって探したものは
ほんとはいったい何だったんだろう

 

“今”と“過去”について歌っています。

 

“僕たち”はまだ子供のようですね。大人になっていくことで無くしてしまうもの、見えなくなっていってしまうものについて憂いています。私を含め、見えなくなってしまった大多数のハロヲタの皆さん、ズシっとくる歌詞ですよね。。

 

< 大人んなって >というワードのチョイスでも、子供感を出しています。譜割り的には、<大人 “に” なって>でも綺麗にハマるのにあえて若者的なワードを使うことで、少ない情報量の中に主人公の年齢や性格的な部分まで想像させます。

 

次のセンテンスでは、“過去”を振り返っています。

 

“僕たち”は何かを探していたようですね。

 

ここで注目すべきなのは< ほんとは >という言葉

 

“僕たち”は、自分たちの中でしっかりと探しているものが見えていると思っていたようですが、見つけた後なのか、それとも探している途中だったのか、ふと探しものの正体が分からなくなってしまったようです。

 

バッキングはギターの「ジャージャジャー、ジャッジャッジャジャー」というド定番フレーズ

しかしリズムパートに通常のベースではなく、ピュンピュン?ピョンピョン?みたいな感じの可愛らしいシンセフレーズの音色をチョイスすることで、アイドルソング的なキュートさ、バカっぽさを保つことに成功しています。

 

あと<見えなくなってしまう>の裏で、左チャンネルから右チャンネルに「カタカタカタカタ」と呪怨の伽椰子の声みたいな音が入っているんですが、、、、、、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これいる?

 

 

 

 

気を取り直して…

 

1番Bメロ

誰かが言った
「幸せになるため生まれ、
そして誰かを幸せにするため
生きていくんだ」

 

このフレーズが、本楽曲の肝であり縦軸となるメッセージであると思っています。主人公の行動や感情は全て、“幸せ”について語ったこの言葉を受けたものと考えると色々と納得できるのではないでしょうか。

 

1番サビ

どれくらい 胸いっぱいの愛を
どれくらい 胸いっぱいの愛を
抱えたら 僕ら 伝えられるんだろう

 

“何を”伝えるのかが書かれていないところがニクいですよね。

 

好きという気持ち?幸せという思い?はたまたそれ以外の何か?考えるだけで楽しいです。

 

また<どれくらい 胸いっぱいの愛を>というフレーズを2度繰り返していますが、1度目と2度目でメロディが違います。

2度目の方がなんだか胸にズシっと刺さってくるように聞こえませんか?これは、2度目の方が“歌感”が薄く、話し言葉に近いメロディで歌われているからだと思います。

1フレーズだけ、このようなメロディを忍ばせることでグサッと残るパートを作り出すというテクニック……痺れるぜ。

 

君を抱きしめたそのときに
2人感じたシアワセ

 

1番は実に微笑ましいラストを迎えます。

 

でも、“シアワセ”がカタカナなのが気になりますね…。

 

2番へのブリッジとなるフレーズもLed Zeppelin『Black Dog』のオマージュとなっております。くぅ~。

 

 

一転!不穏な空気を漂わせる2番

2番Aメロ

手と手をつなげば 感じられる何か
そばにいればずっと消えないものが欲しい

 

美しさと悲しさが同居するコーラスと、Led Zeppelin『Stairway to Heaven(天国への階段)』のイントロフレーズに彩られ、他のパートとは異なる雰囲気の中で歌われています。

<ずっと消えないもの>という言葉からも感じられるように、自分にとって絶対的な何かを求める、焦りや飢餓感のようなものすら感じます。

 

 

 2番Bメロ

タンポポの花みたいに吹けば飛んでいく
流星のように夜空へ一瞬で消えていく

 

簡単に消えてしまう“何か”を歌っています。1番ラストで描かれていたようなハッピーさは皆無ですね。サビを聴くのがなんだか怖いです。

 

2番サビ

あれくらい 夢いっぱいの日々に
あれくらい 夢いっぱいの日々に
君を抱きしめたはずなのに
2人なくしたシアワセ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あぁぁぁぁぁああああああああ!!!!!!!!

 

やっぱりシアワセ無くしたぁぁぁぁあああああああああああああああ!!!!

 

こんな爽やかな曲なのに、ガッツリ失恋したぁぁぁあああああああああ!!

 

 

 

 

 

そんな急展開に合わせるように、ギターフレーズもこれまでと異なるヘビーなフレーズが登場します。

はい、ここでもロック好きのニヤリポイント!『Whole Lotta love』のメインリフがオマージュされていますよ!かっこいいいいい!

 

 さて、“僕たち”の物語はここで終わりです。

 

“僕たち”が探したものとは

悲しい最後を迎えた“僕たち”の物語。幸福な1番、不穏な2番というようなイメージですが、実は1番の段階からただのハッピーソングで終わらないことを暗示するヒントが出ていると思っていて。

それが、“漢字”と“カタカナ”です。

 

幸せになるため生まれ

 そして誰かを幸せにするため生きていくんだ>

 

<2人感じたシアワセ

 

<2人なくしたシアワセ

 

主人公が誰かが言った言葉をもとに目指した“幸せ”は、“漢字”の“幸せ”です。しかし、“僕たち”が辿り着いたのは、“カタカナ”の“シアワセ”でした。

カタカナってなんだか“無機質”なイメージや“感情のない”イメージを与えますよね。これをもとに考えると、2人の中には本当に幸せがあったのか、なんて考えちゃいます。

 

そんなこんなを踏まえて、冒頭のフレーズ。

 

最初に聴いた時と違う奥深さを感じるのではないでしょうか。

今日の僕たちが大人んなってしまえば
きっと見えてるものさえ
見えなくなってしまう
今日まで僕たちが夢中になって探したものは
ほんとはいったい何だったんだろう

 

歌詞が先?アレンジが先?

Led Zeppelinオマージュのこの曲。

 

Buono!楽曲でも定番ですが、オマージュをする場合は“フレーズ”を似せることが多いですね。でも曲の場合、フレーズ以外に歌詞もオマージュになっています。

 

フレーズのみの場合は、メロディ、歌詞が出来上がったあとの編曲(アレンジ)の工程で色々といじればいいのですが、歌詞もオマージュとなると、「ツェッペリン風でお願いします」と注文があったのかなとか、「メロディ、アレンジまで完成した段階で歌詞を付けたのかな」とか、楽曲制作の順番が気になってきました。

 

んで、その答えがこの記事の中に。

 

なんと!「胸いっぱいの愛を」というフレーズはたまたま最初から考えていたんですね!

そのフレーズあるならツェッペリンオマージュにしようという流れだったのか…。

 

あぁ、音楽って楽しい…。

 

 
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