アルバムの最後に伝えたいこと
アルバムのラストを飾るのは大バラード。
壮大なイントロは、まるで本アルバムにおけるアウトロのように響き、これまで聴いてきた楽曲達を思い返さずにはいられなくなります。
サビ
なんにも言わずに
これからも 大切にしてね
「このアルバムを通して自己紹介は終わりました。こんな私達を受け入れてくれるのであれば、これからもよろしくね!」なんて声にも聴こえるフレーズですね。
サビ始まりにすることで、聴き手をグッと惹きつけるように工夫されていて、そのおかげで上記のような印象をより際立たせています。
リズムの隙間の多いメロディ、アレンジも秀逸ですね。
歌うのはめちゃめちゃ大変そうですが、1フレーズ1フレーズごとに心に歌詞が入り込んできます。
言葉数の少ない曲は、曲の世界が伝わりきらず、下手をすると陳腐な曲、つまらない曲といったイメージを持たれてしまう恐れがあります。
しかし本楽曲では、少ない言葉を隙間を持たせた大胆なメロディとアレンジで、少ない言葉数を活かした重厚な印象を与えることに成功しています。
1番Bメロ
夕焼けがまぶしくて
まっすぐ見られない
ゆったり過ごした午後だった
楽しい時だった
世界観としては「私」と「あなた」のお話ですが、歌詞は、具体的なような、それでいて抽象的なようにも感じるフレーズが並べられており、アレンジも相まってなんだか幻想的な雰囲気を作り出しています。
二人が過ごした時間の長さや関係性など、歌詞からは想像するのが難しいですね。しかし、主人公が相手を想う気持ちの強さは随所から感じられます。
2番Aメロ
ねえ 誰かに 聞いたわ あなたのこと
でも 直接 聞くまで 信じない
このフレーズなんかは、とても強い想いを感じますね。
言葉だけを見ると“盲目的な愛”のようにも感じられますが、曲を通して感じるイメージを考えると、より俯瞰した“大きな愛”から来る「信じない」という気持ちであることが分かります。
この一節が『彼と一緒にお店がしたい!』の中にあるフレーズだったら、全く別の印象を受けますよね。笑
ラストサビ
なんにも言わずに
これからも 大切にしてね
なんにも言わずに
これからも
これからも I LOVE YOU
「私」と「あなた」の歌ですが、曲が終盤に向かうに連れてこの「私」と「あなた」がどんどん変容していくように感じます。
特に2番サビ終わりからの<Ah Ah> <Yeah Yeah>とゴスペルチックにコーラスを繰り返して盛り上がるパート。
メンバー同士が顔を見合わせながら笑い合い、そんなメンバーをファンが見守りながら笑い合い、そんなファンを見たメンバーが時には涙し、そんなメンバーを見て今度はファンが涙する。笑
誰が「私」で誰が「あなた」なのか、もうその境界は分からなくなってしまいます。
しかし確かなのは、誰かが誰かを想っているという事実であり、そこに存在するのは“愛”だということです。
「愛に言葉はいらない」なんてことを耳にしますが、つんく♂流に言い換えると『なんにも言わずにI LOVE YOU』になるんですね。
「平和」「日常」「人生」「恋」と様々な事柄を歌ってきたアルバムは、「愛」で幕を下ろします。
画像出典:モー娘。ライブの舞台裏 PAが引き立てるメンバーの「歌」
→ アルバム総括
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