動いているのは○○だけ
『いきまっしょい!』で疾走して空っぽになった脳内に降り注ぎ、別世界へ連れて行ってしまうような不思議なフレーズが導くのは、なんと電車の中。
この異国情緒あふれるアレンジで電車内の歌を歌うなんて、どうかしてますね。
1番Aメロ
電車の中で 二人 微妙な感じ
思い全部 話したら 終わっちゃいそう
1番Bメロ
華やかに咲いてる お花達みたく
ぱっと咲いて散ってもいいわ
叶うなら
1番サビ
優しい時間をあなたは持ってる
こだわってる夢を あなたは持ってる
もうちょっと もうちょっと 近づきたい
もうちょっと もうちょっと 近づきたい
1番の歌詞をすべて記載してみました。
具体的な描写は「電車」のみで、その他の歌詞はとても抽象的なものになっています。
『ザ☆ピ~ス! 』では「選挙」や「ピザ」、『Mr.Moonlight~愛のビッグバンド~』でも「ハンバーグ」など具体的な名詞を組み込むことで、一気に我々の生活に落とし込む手法がつんく♂の専売特許なのに、本楽曲ではその技が使われていませんね。
つんく♂という作家の引き出しの多さが垣間見れます。
本アルバムの中でも一癖ある本楽曲ですが、私はより楽しむための鍵となる言葉を「時間」だと考えています。
< 優しい時間をあなたは持ってる >
< 友情の時間は もう これくらいにしたい >
< 純粋な時間を あなたは知ってる >
上記のように、「時間」という単語が多く登場するこの曲。なぜなんでしょうか。
私は、主人公の“焦り”を表現しているのだと妄想します。
主人公は相手のことを強く想っていますが、どうもうまくいっていません。そんな状況に対する焦りが<ぱっと咲いて散ってもいいわ 叶うなら>と思うほどの感情を抱かせています。
この焦りをより伝えやすくするシチュエーションが「電車」です。
「電車」と「時間」って、なんだか密接に関わっているような気がしませんか。だって決められた「時間」に合わせてやってくるものですよね、電車って。
また、この二人が電車に乗っているということは、いずれ「時間」が来るとどちらかが降りていってしまいますよね。
やっぱり主人公は「時間」の経過を恐れて焦っているのです。
主人公の感情を「電車」というツールを使うことで、より効果的に表現しているニクイ曲なんですね。
ラストサビ
Ah ずっと Ah ずっと
このままで
Ah ずっと Ah ずっと 未来まで
ずっと二人でいることを望む主人公ですが、無常にも「時間」は進みます。当然、電車も前へ前へと進み、二人が離れる駅へと向かいます。
止まっているのは、二人の関係だけなんですね。
くぅ~~、切ない…。
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