モーニング娘。「わがまま 気のまま 愛のジョーク」のダサさは強さ

モーニング娘。「わがまま 気のまま 愛のジョーク」のダサさは強さ

未知との遭遇

 

ある程度音楽を聴いてきた人には、当然多くの楽曲が知識として蓄えられてきます。それはそれでとても楽しいことですが、一方で新しい曲を聴いた際、多くの場合「●●みたいな曲だな」と比較が出来てしまい、音楽を新鮮に楽しむことが出来なくなってしまいます。

 

そんな人は常に「聴いたことのない音が聴きたい」という欲求に駆られていることでしょう。

 

そんな人に声を大にして伝えたいのが「モーニング娘。を聴け!」ということです。

 

『One・Two・Three』から始まったEDM路線。『ワクテカ Take a chance』→『Help me!!』→『ブレインストーミング』と独自のEDMを開拓していったモーニング娘。が、『One・Two・Three』から1年の時を経て辿り着いたのがこの怪曲です

 

いや怪曲と言って差し支えないと思うんですよね、本当に。だってタイトルからして『わがまま 気のまま 愛のジョーク』ですからね。は?って感じじゃないですか。よく訓練されたつんく♂っ子のハロヲタでも最初に思うのは、は?なので、ハロヲタ以外の方も安心してください。

 

 

あなたの感覚は正しいです

 

おかしさの中心で愛を叫ぶ

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画像出典:モーニング娘。目標は新曲1位と紅白出場!リーダー道重は「倍返し」宣言

 

 

まずおかしいですよね、衣装が

 

なんですかこのストライプ柄。最高にダサい個性的ですね。衣装のダサさオルタナティブさには定評のあるハロプロですが、これもなかなかどうして、う~ん、ねえ、ア、アヴァンギャルドでいいのではないでしょうか!ね!ね!

…予算がつかないのか?懐事情がアレなのか?まさかこれが良いと思っているのか?

 

でも柄はどうあれミニスカワンピースは最高です

 

1番冒頭

わがまま 気のまま 愛のジョーク
女の子にだけ分かるトーク

 

<女の子にだけ分かるトーク> ってつんく♂さんあんた男ですや~ん!なんてツッコミは無粋です。なぜなら、つんく♂はどんな女の子より乙女だからです。疑問がある人は、とりあえずスマイレージ楽曲を片っ端から聴いてから戻ってきてください。

 

よ~く耳をすませると、ウィスパーボイスでも歌われているのが分かります。この細かい工夫が何やら神秘的でセクシーな雰囲気を作り出しているのですね。

 

あとウィスパーボイスとかあるとレコーディング風景を想像するのが楽しいです。「恥ずかしいです…///」とか言いながらキャッキャやってるのかな~。立ち会いたい。

 

アレンジもおかしいですね。ハネたリズムや <HEY HEY> といった合唱パートから、明らかにライブを意識して作られている楽曲であることは分かります。イカしてるじゃないですか。

 

でもトラック一つ一つの音色はカッコいいのに、サビ前のバスドラムの「ダン ダダンダン ダダダンダン」といったスタイリッシュさのかけらもないリズムの組み方で、なぜか一気に曲をダサくします。サビのビンタ音(振り付け参照)も同様に鬼ダサいです。

 

でもこのダサさが強烈な印象を与えて「新しい音」を楽しませてくれるんですよね。

 

ラストサビ前のアレンジなんかまさにそうで。 左右のチャンネルを無駄に行き来するギターとか無駄にサンプリングでメロディを作るあたりとか、堪らなくダサいけどもう好きにやってくれって感じです

 

  1番サビ

愛はきっと罪深い
愛されたい 愛されたい
愛はきっとほろ苦い
愛されたい 愛されたい
愛されたい!

 

ドルヲタの心の叫び <愛されたい 愛されたい>はライブでの合唱で本当に気持ちが入りますよね。世の中に無数の合唱パートあれど、ここまで人類共通で叫べるワードは無いのではないでしょうか。あとは「お金欲しい」くらいか。でもビル・ゲイツは共感できないか。やっぱ「愛されたい」だな。

 

でも、愛でられるものの象徴である「アイドル」にこの歌詞を歌わせるのもおかしいですよね。しかし、なんででしょう。

常に“孤独”を背景としているつんく♂楽曲を歌っているからでしょうか、それともキャラクターによるものなのでしょうか、モーニング娘。のメンバーには、この歌詞が似合っているようでならないのですよ。異様な説得力を感じるんですよね。

 

合唱もさることながら、なんと言ってもこの曲のハイライトは、譜久村聖・鞘師里保・佐藤優樹の御三方による <愛されたい!> でしょう。「大丈夫大丈夫、みんな愛されてるよ!」と伝えてあげたくなるくらい三者三様迫真の <愛されたい!>を叫んでくれます。

 

意図されたダサさから「カッコいい曲です!」と真正面から言うことはできない曲なんですが、制作スタッフの「新しいものを作ろう」という気概を感じる名曲(迷曲?)です。

 

音楽なんて良いも悪いもなく、好きか嫌いか。

 

私は大好きです。

 
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