ブラックミュージック要素のある最近のアイドル曲5選

ブラックミュージック要素のある最近のアイドル曲5選

アイドル×ブラックミュージック

J-POPに「ブラックミュージック」が浸透してからもうどれくらい経つのだろう。

 

「R&B」「ヒップホップ」「ソウル」「ドゥーワップ」などなど、一口に「ブラックミュージック」といっても多様なジャンルに枝分かれしているが、どれも知らず知らずのうちに我々が耳にしているものだ。

一方で「R&B」であれば“オシャレでセクシー”、「ヒップホップ」であれば“オラオラ系のマッチョイズム”など、実情とは異なる場合もあるがそんなイメージを多く持たれているだろう。

そしてそのどれもが、“明るく可愛く清純”なアイドルのパブリックイメージとは結びつかない。

しかし、そんな要素をアイドルと見事に融合させた楽曲がアイドルシーンには多く存在する。

 

本記事では、そんなブラックミュージック要素を取り入れたアイドル楽曲を紹介する。

 

MIC RAW RUGA(laboratory)「CONCORDE」

 

一部のファンをくすぐるようなマニアックかつポップなアイドルラップを手掛けてきたE TICKET PRODUCTIONのプロデュースによるガールズラップグループ。

 

読みは「マイクロウルーガ・ラボラトリー」。略称は「マイクロウ」。もうこの略称の時点でNITRO MICROPHONE UNDERGROUND(略称ナイトロ)を彷彿とさせてヒップホップヘッズを熱くさせる。

 

1stEPに収録されている本楽曲は、韻至上主義のヘッズにはたまらないガッチガチに硬い韻が散りばめられている。もう全行パンチラインといっても過言ではない。

 

<夜空にピン留 する韻とビートで 鳴らせ 金時計>というラインでは、「金時計」というヒップホップアイテムを「韻とビート」というこれまたヒップホップに欠かせない要素で踏むというオシャレさ。素晴らしい。

 

私が個人的に一番好きなのは<タンテーブルとろくろは同じ 回して上げてく作品の価値>のライン。しっかりと踏んでるし、言い回しも上手い。あっぱれ。

 

そこら中で聴くトラップビートとは違う、古き良きヒップホップを感じさせるトラックも秀逸だ。

 

raymay「ファンキィパーティ」

 

タイトル通り、まさにファンキーでノリノリなトラックにこれまたノリノリなリリックが乗っかった爆上げチューンだ。

 

バキバキブリブリのスラップベースと高揚感を高めるブラスの相性は抜群。生演奏で合わせるのには苦労しそうな“キメ”も盛りだくさん。そして2層構造のサビで最高のカタルシスへ…。

 

盛り上がらない訳がない。

 

<funkなビートも揺れて燃える カメラのピントもズレて盛れる>では熱い楽曲への言及とアイドルっぽい「盛れる」という言い回しで踏むところが面白く、<これが新時代(ニュージェネレーション)の黎明だ そして安寧秩序の声明だ>では、自らのグループ名(raymay)を交えるところが実にヒップホップだ。

 

「Wow Wow」「Fu~Fu~」と大声で合いの手を入れれば君も立派なドルヲタだ。

 

フィロソフィーのダンス「シスター」

 

アイドル界におけるブラックミュージックの伝道者として、その地位を不動のものにしつつあるフィロソフィーのダンス。

 

そんな彼女たちから届けられた極上のダンスチューンが「シスター」だ。なんだこのエロエロビートは。

 

自然と身体が揺れる。まさに“休符”を感じて“間”を楽しむ楽曲である。

 

特にたまらないのは、Bメロのベースとピアノの絡みだ。素晴らしい歌唱から一旦耳を離して、バックのビートに注意して聴いてみて欲しい。スラップで惹き付けて、マイナーコードで心をわしづかみにするこのアンサンブルですよ。

 

<which is this love? この「好き」はダメなの?>と、同性愛を思わせるようなアダルティで禁断な匂いを感じさせる歌詞も、妄想の余白が残されていて美しい。

 

アイドル楽曲大賞2019「インディーズ/地方アイドル部門」第9位は、伊達じゃない。

 

関連記事:フィロソフィーのダンス「オール・ウィー・ニード・イズ・ラブストーリー」の親しみやすさ

 

MELLOW MELLOW「WANING MOON」

 

芸能事務所サンミュージック発のアイドルグループ・さんみゅ~のメンバーを中心に結成された、3人組ダンスヴォーカルユニットがMELLOW MELLOWだ。

 

本作「WANING MOON」は彼女たちの4thシングルであり、アイドル楽曲大賞2019「メジャーアイドル部門」で堂々の10位を獲得した楽曲である。

 

作曲&アレンジは、先程のフィロソフィーのダンス「シスター」と同様、宮野弦士によるもの。現代アイドルソングにおけるブラックミュージックの作り手として右に出る者はいない活躍っぷりだ。

 

しかしこの華麗なトラックより強い印象を残す彼女たちの歌声が凄まじい。冒頭の<Time To Say Good-Bye>からグワっと曲の世界に心を引き込まれる。

 

軽やかにしなやかに音に乗って、透き通っているのに力強くて、三者三様の魅力がす~と身体に入ってくるようだ。

 

幸福と寂寞を行き交うような歌詞世界も絶妙。まず「WANING MOON=下弦の月」というタイトルの時点で勝ちだよね。

 

この曲を幸せな曲と感じるのか、切ない曲と感じるのか、それはその日の景色だったり、その日の気分だったり、その他諸々の条件によって変わってくるのかもしれない。

 

きっとその“メロウ”なゆらぎこそが本楽曲の真髄なんだ。

 

我儘ラキア「rain」

 

天上天下唯我独尊、我が道を突き進むラウドロック系アイドル・我儘ラキア。

 

元ライムベリーのMIRIの電撃加入により無敵オブ無敵になった彼女たちの最新シングルが本楽曲「rain」だ。

 

これまで紹介してきた楽曲たちとはだいぶ毛色が異なるが、メタル×ヒップホップなのでちゃんとブラックミュージックの要素は入っている。

 

Korn、Slipknot、Limp Bizkit等による極上グルーヴに毒されて人生を狂わされたマイメン達には失禁ものの、ゴリッゴリのニュー・メタルチューンだ。

 

ゴシックっぽい冒頭ピアノやラウドなA・Bからの美メロのサビ、<黒くおどる世界を><Falling down in silence,falling Ah>といった厨二病全開のからは、ゼロ年代V系の匂いも感じる。

 

つまり、大好物です

 

そしてそこにMIRIのラップが加わることで、独自性のあるワンランク上の楽曲に進化する。踏むところは踏む、抜くところは抜く、韻とフロウの押し引きが完璧だ。

 

女性ラッパーのみのMCバトルで準優勝した実力を誇る彼女のスキルに嘘はない。

 

似たようなジャンルの楽曲を歌うアイドルグループは様々存在するが、その大部分は楽曲の強さにパフォーマンスが追いついていなかったり、背伸び感が拭えなかったり、まぁ要するに糞ダセェことが多い

 

しかし作詞作曲を自らの手で行う彼女たちからは、そんな印象は微塵も感じられない。自分たちの中から出てきたものを形にしているのだから当たり前だ。

 

これが我儘ラキアなのだ。

 

終わりに

コロナ禍の今、星野源による「うちで踊ろう」が日本を繋げている。

 

何を隠そう星野源もブラックミュージックの魅力を日本に伝えている第一人者であり、“踊らせる”ことはブラックミュージックの真髄だ。

 

“アイドル”という宇宙一自由な音楽フォーマットに落とし込むことで、よりポップに研磨されたブラックミュージックを楽しむことが出来る。陰キャオタクだって身体を揺らして音に身をまかせること出来る。

 

こんな今だからこそ、アイドルで踊ろうではないか。

 

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