開歌-かいか-「セミロング」が迷い込ませるもの

開歌-かいか-「セミロング」が迷い込ませるもの

開歌-かいか-「セミロング」

 

この世で最も甘美な単語のひとつ、「セミロング」

 

きのこたけのこ戦争よりもはるか昔から、全世界のアホ男子の間で繰り広げられたであろう数多の戦争。それは、ショートカット派VSセミロング派という2つの派閥の間で今日この瞬間も行われているに違いない。

 

両者の均衡は、2011年にロックバンド・Base Ball Bearが発表した『short hair』のMVの本田翼が可愛すぎるせいで、大きくショートカット派に傾いていた。しかし2019年、セミロング派についに逆襲のチャンスが訪れたのである。

 

メンバーの鮮やかに咲くような歌声を届けるというコンセプトのもと、2019年4月に結成された「開歌-かいか-」。

 

元アイドルネッサンスの百岡古宵が所属するということで、結成当初から話題になっていたグループのデビューシングルが本作だ(『歌の咲く島』との両A面)。

 

ファンタジー系RPGの森の中に迷い込んだような独特な浮遊感と懐かしさを感じさせるトラックを聴くだけで、さすがは「sora tob sakana」を擁する事務所から送り出されたグループだとうなずいてしまう。

 

徹底して神聖な存在として描かれているセミロングの存在。少女なのか、大人の女性なのか、はたまた人間なのだろうか。トラックの雰囲気とイノセントな歌声の相乗効果によって、「光」に向かって走っていくその存在はどこまでも神秘性を帯びていく。

 

この浮世離れしたイメージを作り出しているのは、もちろんトラックによる部分も大きいが、明確なサビを持たないメロディによる部分もあるだろう。盛り上がること、オーディセンスみんなで歌うことを目的に作られたメロディではなく、一人ひとりの心に景色を映し出すためのメロディ

 

フェス全盛の世の中で、非常に挑戦的であり何よりもロックだと思う。

 

音楽を聴いているのに、気づいたら1枚の絵画の前に佇んでいるような、はたまた妖精が暮らす森の中をさまよっているような、そんな五感を刺激する体験を与えてくれる楽曲だ。

 

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