アイドルの覇道
アイドルは可愛い。
「空は青い」くらい至極当たり前であり、アイドルという存在の至上命題と言えるだろう。
しかし、アイドルの度が過ぎた可愛さは時に暴力となって我々に襲いかかってくる。病んだ心を鷲掴みにし、その底なし沼に引きずり込んでしまう。
本ブログを読んでいる方はそんな経験をしてきたか、まだ見ぬそんな経験を期待している方だろう。
青春、恋、友情、涙…。
ここでは王道アイドルソングとしての要素を持ちながらも。音楽的面白さや心に突き刺さる歌詞など、強烈なフックを持った楽曲を紹介する。
CROWN POP「真っ白片思い」
ももクロの何番目の妹分になるのだろうか。スタダの新生・CROWN POPから、この冬、オタクをニヤけ殺す極上のポップソングが届いた。
私が総理大臣になったら、まずこのフォーマットで全アイドルにMVを作らせる。
ついでに、ガッキーにも橋本環奈にも広瀬すずにも浜辺美波にも作らせる。
王道こそ覇道。可愛さこそ暴力ということを改めて教えてくれる激かわいいMVだ。
私はエビ中ファンではあるが、スタダ全般に手を広げている訳ではないので正直クラポのメンバーの顔まで覚えていなかったが、とりあえずもう全員好きになりました。本当にありがとうございます。
なにこの美しいサムネ。
麗しの横顔。神秘的な産毛。
1月だけどもうサムネ・オブ・ザ・イヤー贈呈だよね。
トラックだけ聴いていると、意外と夏の楽曲にもなりそうな清涼感。
しかし要所に使われているキラリとしたシンセの音色が、確かに雪のイメージを連想させる。
しかし同時にどこか温かさも感じさせるのは、BメロやCメロにほんの少し登場するストリングスの仕業か。
はたまた甘酸っぱい恋を綴った歌詞の仕業か。
美しいメロディのサビのフレーズ<君に 真っ白な片思い>は、<君に>がソロ歌唱で<真っ白な片思い>がユニゾン歌唱になっていて、より美しさを際立たせている。
<君に ま~>は<ドレミ ファ~>の音程になっているので、聞き慣れたメロディであるため耳馴染みが良く、初めて聴いても安心感があり、無意識のうちに心に残るフレーズになっている。
YouTubeのコメント欄に“サビのメロディー…全人類好きだろ…”とのコメントがあったが、まさにその通りだ。
CROWN POP、正直なめてた…。要注目だ。
神宿「グリズリーに襲われたら♡」
なんてバイオレンスな楽曲&MVなんだ。もうこれはメタルだ。
どんなブルータルデスメタルやゴア・グラインドよりも、残虐で破滅的で殺戮的で破壊的な力。
その圧倒的な「可愛さ」は生身の人間には到底耐えられるものではなく、殴られた影響が“血”という形で発露するように、本楽曲の影響は“ニヤける”という形で発露する。
極度の可愛さは暴力なのだ。
顔面偏差値の高さに定評がある神宿が、天才…、いや奇才・清竜人と出会うことでとんでもない化学反応を起こしてしまった。
自身の一夫多妻制アイドルグループ・清竜人25だけに留まらず、ももいろクローバーZやでんぱ組.inc、乙女新党といったアイドルグループから、堀江由衣や田村ゆかりといった声優までオタクの需要に応える多くの楽曲提供を行ってきた彼が、またとんでもない作品を残したのだ。
セリフパートやミュージカル調のアレンジ、グリズリーという印象的な固有名詞(過去にはツチノコもあったなぁ)など、清竜人の真骨頂が遺憾なく発揮されている。
そしてなんといっても印象的なのはサビのメロディだ。
効果的に“半音”を取り入れることで、不安定さを作り出し、「ん?なんだ?」という違和感を与えている。
本当に1音の違いで印象が大きく変わる。
違和感は嫌悪感に変わってしまう恐れがあるので、そんなメロディ・コード進行を使うのは勇気がいるが、そこは職人・清竜人
違和感を好感に変えてしまう。
そして、神宿の“確かな歌唱力に裏付けされたロリボイス”が歌いにくいメロディをキャッチーなものに仕上げているのだ。
サビ前・サビ中に挿入される「Yeah」とか「Yes Help me」とか、ラストサビ前で音をもたらせる感じとか、もうセンスとしか言いようがないよね。
清竜人の才能と神宿の可愛さにひれ伏すしかないです。はい。
桜エビ~ず「灼熱とアイスクリーム」
「桜エビ~ずの楽曲がヤバいらしい」とまことしやかに囁かれだしたのは、本楽曲あたりからだったように思う。
ヘッドフォンまたはイヤホンで聴くべき曲だ。
左からは楽曲を牽引する16分のカッティング、右からは楽曲に色をつけるメロディ、中央にはバキバキのベース。
それぞれがそれぞれの役割を果たしながらも調和し、しかし最後に心に残るのは彼女たちの歌だ。
夏のせいで早く溶けてしまうアイスクリームと、君のせいでドキドキしてる主人公。どちらも共通するのは”アツさ”だ。
物理的な”暑さ”と精神的な”熱さ”が同時に訪れた<SUMMER DAYS>に、先にとろけてしまうのはアイスクリームか主人公か。
タイトルは『灼熱とアイスクリーム』。
でも本当のタイトルは『君と私』かな。
富士葵「エールアンドエール」
Spotifyでアイドル系のプレイリストをシャッフルしていたら飛び込んできた本楽曲。
イントロの3・3・7拍子から裏打ちスチャスチャで爽やかなギター。
抑揚をつけた歌唱にセリフまで交えながら、サビ前ではコール・アンド・レスポンスをぶち込む。
そしてサビでは「ハイ!」とみんなで盛り上がれるというキャッチーさのお手本のような曲が、まさかVTuberの楽曲だったとは…。
「アイドルソング」という括りが正しいのかは謎だが、まぁいいっしょ。ね。
2017年から『君の心の応援団長』をコンセプトに活動している富士葵。
Jリーグ・清水エスパルスの公式サポーターになったり、アニソンフェスに参加したりと多方面で活躍している様子。
VTuberの知識は全くなかったが、楽曲制作陣はちゃんと良い音楽を作っていて、虚像と分かっていながらもファンはその存在から元気を貰っている。(ぜひ動画コメント欄を見てほしい)
VTuberだからこそ歌えるような、こんな歌詞もある。
空間は違えど どっかでおんなじな
このハートと そのハートを
もちろん現実世界には存在しないため、我々とは生きる「空間」が違うVTuber。
そんな彼女たちとのリンクを感じられるこの歌詞はなんだかグッと来る。
「空間」が違うと言えばアニメのキャラソンでも同様のことが言えるかもしれないが、キャラソンの場合はあくまでも“キャラとしての楽曲”であるため、本歌詞のようなメタ的な視点では描けない。
そのため、現実世界と絶妙にリンクしているVTuberだからこそ歌える歌詞と言えるのではないだろうか。
今後もVTuberだからこそ歌える楽曲、VTuberだからこそできるライブを作っていって欲しい。
これは要チェックだ。
Task have Fun「星フルWISH」
アイドル楽曲大賞2017「インディーズ・地方アイドル楽曲部門」において、文句なしの第1位を獲得。
大名曲『3WD』により、大々的に“見つかった”彼女たち。以降も楽曲に対する評価は高かったが、王道アイドルソングにおいてもさすがの高水準だ。
オールディーズ感漂う「TO TO TO」コーラスから、程よいBPMのシャッフルビートがゆるく身体を揺らしてくれる。
「TO」だけで可愛いんだからアイドルはずるい。
というか3人とも大人っぽくなったなぁ、というキモい感想も出てくるってもんだ。あぁ可愛い。
なんと言っても同音3連打で始まるサビがインパクト抜群。一発で覚えられる。
楽曲全体を包むオールディーズな雰囲気にもバッチリあった懐かしさすら感じるメロディだが、彼女たちが歌うとなぜこんなにもスタイリッシュに聴こえるのだろう。
つんく♂プロデュース企画が進行中のTask have fun。楽しみで仕方ない。
終わりに
季節感がめちゃくちゃになってしまったが、どんな季節でも「王道」をゆくことが出来るアイドルソングって最高だ。
そして、どんなジャンルの音楽でも「アイドル」が歌うだけでアイドルソングと括っちゃうアイドルソングって最高だ。
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